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「HIV」なんて人ごとさっ! さすがに今どき、そんな風に考える人も少なくなっているとは思うけど、「HIV」についてキチンと理解できているのかな? そして予防するためにどうすればいいのか、本当に分かってるのかな? このコーナーでは、「HIV」の実態を知り、予防していくための方法を考える。
文・溝口哲也
1976年生、現在30才。
昔は性感染症の勉強会やレズビアン&ゲイ映画祭のスタッフでしたが、今ではただの社会人です。HIV関係ではもはやただの素人同然ですが、そのぶん初心に戻ってがんばりたいと思います。

PART1:僕らのとなりの「HIV」
〜今さら聞けない素朴な疑問に答えます!〜

第24回
今さらですが、「HIVをカバーしている保険はありますか?」

イラスト/タカサキケイイチ

Q「HIVに感染すると民間の保険は適用されるのでしょうか? またはHIVをカバーしている保険はあるのでしょうか? 毎年春には保険の新規契約を考えていますが、総合疾病とか病気・ケガによらず入院全般とかは見ますが、そこにHIVは含まれているのでしょうか? また、さらにエイズになった場合も含めて教えていただけますか。保険屋さんにも聞きづらくて質問させて頂きました」

うぐ、今月は保険についての質問ですか。自慢じゃないけど自分、30歳にもなってまだ生命保険に何も入ってないんですよ。情けない…。この質問、毎日がノープランな自分にはかなり難易度高めですが、なんとか調べてみようと思います。でも生命保険の会社ってたくさんあるし、どこに聞くのがいいんだろう? 知識の無い自分は日本生命くらいしか知らなかったのですが、今回はビジネス誌で「信頼できる生命保険会社ランキング」というのを見つけたので以下の会社に直接電話して聞いてみることにしますよ。んじゃ早速レッツコール!
1位:プルデンシャル生命

2位:ソニー生命

3位:東京海上日動あんしん生命

4位:三井住友きらめき生命

5位:アリコジャパン
※出典「週刊ダイヤモンド」 2006年2月18日号

〜1時間経過〜

ふー、終わった〜。5社全てに電話してみたのですが、まあどこも大体同じような回答ですね。以下、その内容をお伝えします。

結論としては、特約のようなHIVに特化したサービスこそないものの、エイズを発症すれば他の病気と同じように保障を受けることは全く可能なようです。

●医療保険加入後にHIV感染がわかったら、給付金はすぐに下りるの?
がんや生活習慣病だと「病気が診断されたら一時金100万円お支払いします!」みたいな特約もありますが、HIVでこういった特約はどの会社にもありませんでした。HIVの場合は感染がわかっても様子を見るだけですぐに治療開始とは行かないことも多いので、いきなり「一時金○○万円」なんて給付は難しいみたいですね。

●では、HIV感染だけでは給付金は下りないの?
 特約が無い以上、HIVも他の疾病と同じように扱われます。ですのでその後エイズを発症してそれに起因する入院や手術が発生すれば、他の疾病の場合と同じように給付金は支払われます。よく天海祐希が「がっちり! がっちり!」とか言ってるような一般の保険でも、エイズを発症して入院すれば「入院一日につき1万円」というような給付がおりるわけです。ちなみに会社によっては、手術、入院とは別に生前給付(リビングニーズ)特約をもうけている会社もありました。これは余命が短いことがはっきりしていれば、生きている間に死亡保険金の一部を給付してもらえる制度です。この特約は余命期間がポイントであって特に病気は限定していないので、もしエイズで余命が少なくなれば給付を受けることが出来ます。

医療保険にしょう。
 各会社の話によると、もしもHIVに感染してしまったことがわかると、そこから新しく保険に加入するのは難しいようです。どの担当者も加入の審査をするのは別の部署なので最終的な判断はわからないとは言うものの、会話のニュアンスではどうも加入は困難なのではないかという印象でした。

 前もって保険に入っておけば、HIVに感染しても手術や入院についてはある程度安心です。ですが、保険はあくまで支払いの一部を補助するものでしかありません。保険はあくまで保険と割り切って、HIVは普段から予防を心がけるのがやっぱり一番ですね。

Part2:ポジティブなPositive Lifeのために
〜感染している人にとって必要な情報をコンパクトにまとめて〜
第9回
薬の選び方
 こんにちは。今月は薬の選び方について、基本的な考え方を説明します。「よく3剤っていうけど、これって何?」と今までなんとなく聞き流してきた人は、ここでちょっくら腰を入れて読んでみてくださいね。

■基本は「NRTI2種類+PI またはNNRTI1種類」
 単剤や2剤での治療は耐性ウィルスの出現を招くことから、非常に危険であることは皆さんご存じの通りです。現在主流になっているのは3剤併用、3種類の薬を組み合わせる飲み方です。とはいうものの、いま手に入る薬は20種類(合剤除く)、このなかからなんでも適当に組み合わせて飲んでいいわけではありません。一緒に飲んではいけない組み合わせもあるのです。

 抗HIV薬は、大きく3つのグループに分かれます。NRTI(核酸系逆転写酵素剤)、NNRTI(非核酸系逆転写酵素阻害剤)とPI(プロテアーゼ阻害剤)です。NRTIから2つ、PIもしくはNNRTIから1つ、合計3つの薬を飲むのが基本です。その中でも特に治療効果が高く飲みやすい「推奨療法」として6つの組み合わせが、次に勧められるものは「代替療法」として多くの組み合わせが定められています。誤解のないように付け加えますが、「代替療法」の効果が必ずしも劣るわけではありません。「飲みやすさ」も推薦の基準であるからです。

 この2つの療法の中から自分の生活習慣や体質に応じて、薬を選ぶことになります。

■まずは副作用から
 薬を選ぶ基準は、最初は予想される副作用から考えます。体質や持病、仕事などによっては飲むべきでないものがあるので、そこから消去法で「これはダメ」なものを選択していきます。最近よく処方されるもので主な副作用をまとめました(下表1参照)。

 例えば、鬱病や不眠で悩まされている人や、高所での作業など危険な仕事に就いている人は、エファビレンツはやめた方が無難です。ただ、この表は非常に単純化してあり、副作用は他にもいろいろあるので、医師とよく相談しましょう。「最近コレステロールが気になるんですけど、高脂血症はどうなんですか?」など、疑問を残さず質問して下さい

 また、有名な副作用でリポジストロフィー(脂肪分布異常)と呼ばれるものがあります。具体的には頬がこけ手足が痩せて血管が浮き出るようになり、逆に腹は出てくるというものです。PIとd4Tでよく見られます(PIでもアタザナビルは頻度が低いという傾向があります)。外観が気にならない人はいないと思いますが、この点も不安であれば率直に医師に話して下さい

■次は回数と食事
 ダメなものが決まったら、次は1日の回数と食事の制限です。「回数は少ない方がいい」とか「食事は不規則だから1日2回でも食事の制限がない方がいい」など、生活のリズムによって人それぞれでしょう。「推奨療法」の組み合わせを回数と食事で整理してみました(下表2参照)。

「推奨療法」の中から適当なものが選べない場合、例えば「不眠だけど食事が不規則」のような人は、「代替療法」から選ぶことになります。

 基本はここまで、ここからは人それぞれの条件に合わせて選ぶしかありません。重ねて言いますが、医師とよく話して納得することが何より大事です。それではまた来月。
表1
AZT 貧血
エファビレンツ 神経症状(めまい等)
アタザナビル 肝障害(黄疸)
ほとんどのPI、エファビレンツ 高脂血症
表2
組み合わせ 回数 食事制限
エファビレンツ+FTC+TDF 1 なし
エファビレンツ+3TC+TDF 1 なし
エファビレンツ+3TC+AZT 2 なし
エファビレンツ+FTC+AZT 2 なし
ロピナビル+3TC+AZT 2 食後
ロピナビル+FTC+AZT 2 食後

今月の薬情報
PIのブースター リトナビルについて
 上の記事で、「PI1種類」と書きましたが、「オレは2種類あるぞ」という人、実は結構いると思います。これはリトナビルをブースターとして使っているためです。ちょっと説明しますね。

 PIであるリトナビルにはウィルスを抑える働きももちろんありますが、効き目は弱いとされています。しかし、注目されているのは「他の薬の効きを良くする」作用です。

 例えば、ホスアンプレナビルはリトナビルなしでは1回2錠ですが、リトナビル1回1錠を足すと1回1錠で、効き目はリトナビルをプラスした方が成績がいいという結果が出ています。また、サキナビルは必ずリトナビルとセットで使わないといけないことになっています。

 リトナビルは薬を分解する肝臓の酵素を抑える働きがあり、そのせいで他の薬が分解されにくくして、その結果、薬の血中濃度が上がるわけです。そうなれば、少ない量でよく効いていることになってとってもおトク、となるんですね。

 飲む薬の量が少なければ副作用も少ない、ということで、現在リトナビルのブーストなしで処方されるPIはネルフィナビルだけになりました。残りのPIは理由がない限りリトナビルと併用が圧倒的です。ロピナビルも実はそれを見越して作った合剤で、中にリトナビルが少ーしだけ入っています。

 ブースターとして使われるリトナビルには、あんまり抗ウィルス効果は期待されていません。しかし、今となってはリトナビルはなくてはならない薬になりつつあります。
※掲載されている情報は発売当時のものですのでご了承下さい。

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