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| 「HIV」なんて人ごとさっ! さすがに今どき、そんな風に考える人も少なくなっているとは思うけど、「HIV」についてキチンと理解できているのかな? そして予防するためにどうすればいいのか、本当に分かってるのかな? このコーナーでは、「HIV」の実態を知り、予防していくための方法を考える。 |
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文・溝口哲也
1976年生、現在30才。
昔は性感染症の勉強会やレズビアン&ゲイ映画祭のスタッフでしたが、今ではただの社会人です。HIV関係ではもはやただの素人同然ですが、そのぶん初心に戻ってがんばりたいと思います。 |
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PART1:僕らのとなりの「HIV」
〜今さら聞けない素朴な疑問に答えます!〜
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第25回
今さらですが、短い時間でも、傷口に触れたら感染しますか? |
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イラスト/タカサキケイイチ
| Qこの前ですね、やったのですが、ゴムは付けていました。ですが手マンのときちょっとササクレがありまして、そんなに長い時間は指を入れてませんが傷口には変わりないので心配です☆相手がHIVかは知りませんが10人以上はしてるみたいなので不安です。10代後半です、相手も☆(匿名希望) |
質問ありがとうございます☆さすが10代☆ともなると☆メールの☆文面も☆違いますね☆なんて30男の俺が10代とおんなじことやっても気持ち悪いですかそうですか。
で、今回の質問内容、「手マンのときにささくれ」ということですが、たしかに「傷口には変わりない」ので、もし相手がHIVに感染してたら感染の可能性は一応ありますね。「生でガン掘りされました」とか「ザーメン飲まされました」とかいう行為よりは、感染の可能性は低いような気もそこはかとなくしますが、でも可能性のあることに変わりはありませんので時間あるときにでもぜひ検査に行ってみてください。
ここで告白しとくと、実はこの質問、もらったのは半年くらい前でした。いやこのコーナーもおかげさまでわりと人気なんでさー、質問メールが毎日バンバンきちゃって羽振りよくてウハウハなわけ。ちょっと山田君、メニューに載ってんの一番高いもんから順に全部たのんじゃって!(誰に言ってるんだ)
嘘です。本当は質問メールが最近あまりにも来ないもんだから原稿にできる質問が全然足んなくて、今は、昔来た数少ない質問を備蓄しては少しづつ回答している状態なんです。毎月、一個ずつ質問に回答しては、マッチ売りの少女のように「残りあと3本…」とかため息をついてるんです。悲しいね。だからこの質問にはすぐに答えられませんでした。ごめんなさい。
振り返ると、今までも「〜しちゃいました。HIVに感染したかもしれないので不安ですけどどうでしょう?」みたいな質問は何度もありました。ですがよく考えてみると、質問してきたみなさんも、その行為がなんとなくヤバイって直感したからジーメンまで質問してきたわけで、その直感は大体当たっている、つまりHIVに感染する可能性があることが多いんですよね。少なくとも今までに、「深夜のオフィス街で全裸露出プレイしてきました。HIVに感染したか心配です」とか「テレセで激しくオッス!
オッス! 連呼しました。HIVに感染したか心配です」とか言ってきた人はいないわけ。
なのでこれ読んでるみなさんも、もし「HIVに感染したかも」なんて心配な経験があったら、それは大体、あなたの思った通りでHIVに感染した可能性はあるんだと思います。そんなときは自分に質問してもらうよりも、そのまま検査に行っちゃったほうが早く結果がわかっていいんじゃないでしょうか。ああ、本当は喉から手が出るほど質問メールが欲しいのに読者に検査を進めてしまうなんて、なんてアンビバレンツ…。
あ、念のためですが、あんまり検査を受けるのが早すぎても結果はきちんとわからないので、検査はそういう行為のあったときから3ヶ月以上たってからにしましょうね。
あと質問者さんへ、最後にお伝えしておきたいことがあります。質問では「10人以上はしてるみたいなので不安です」とのことでしたが、相手がセックスしたことのある人数は大事じゃないですし、実は相手がHIVに感染しているかどうかも問題じゃありません。世の中にはHIVに感染していてもセーファーにセックスを楽しんでいる人はたくさんいますから、質問者さんは相手がどんな人かなんてことはあまり気にせずに、「自分がセーファーセックスできているか」ということを一番大事に考えてくださいね。 |
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Part2:ポジティブなPositive Lifeのために
〜感染している人にとって必要な情報をコンパクトにまとめて〜 |
第10回
耐性ウィルスとは? |
こんにちは。今月は耐性ウィルスについてお話しします。今までは「薬をきちんと飲まないと耐性ウィルスが出るぞ」などとさんざんお話ししてきましたが、その出現のメカニズムや、それが何を意味するのか、ちょっと小難しくなるかもしれませんが、がんばって説明しますので、よろしくお願いしますね。
■HIVは変異しやすい
「突然変異」という言葉はみなさん聞いたことがあると思います。遺伝子が親から子へ受け渡されるときに、エラーが起きて遺伝子が変わってしまい、親と違った子供が生まれてくることですね。哺乳類などの高等生物では、このエラーを修正する機能が非常に発達しているので、突然変異が起こる確率は低いが、それに比べてHIVは突然変異の確率が非常に高い。ウィルスとはそういう生物(?)なのです。
突然変異が起きやすい、とはどういうことでしょうか。それは、周りの環境が変わっても子孫を残しやすい、ということを意味します。Aという遺伝子を持っていれば今までの環境で増殖することができるけれども、Bという遺伝子がなければ新しい環境では死んでしまう、とします。こんなとき、AからBに遺伝子が突然変異したものが生まれれば、ウィルスは環境の変化に対応して生き延びることができるわけです。人間のように高度な仕組みを持たないウィルスにとって、突然変異のしやすさは子孫を残すための戦略と考えることができます。
■環境=薬がとけ込んでいる血液
では、ウィルスにとっての環境とはなんでしょう? 「人間の体内」であり「血液」であるのはもちろんですが、治療に直結するのは「薬が溶け込んでいる血液」です。
薬を飲んでいない間は、ウィルスは自由に過ごしていますが(なんだか人間みたいな表現ですね)、薬を飲んで血液中にその成分が入ってくると、ウィルスは増殖することができずに、次々と死んでいきます。
ウィルスは、一定の割合で必ず突然変異を起こします。このとき、血液中の薬の濃度が十分に高いと、ウィルスは全体として減っていくのですが、濃度が中途半端だと、突然変異を起こしたウィルスが増えるスキを与えてしまうのです。ウィルスはこのスキを最大限利用して、新しい環境=薬に対応した突然変異を起こします。そして、その突然変異を含んだ子孫は、仲間が薬でバタバタ死んでいくのを脇で見ながら自分だけはジワジワと増えていくのです。これが耐性ウィルスです。
■薬の血中濃度の維持が最も大切
ポイントは、突然変異を起こしたウィルスが増えるスキを与えないこと、すなわち何種類かの薬をきちんと飲み、薬の血中濃度を十分な濃度で維持することです。今まで何度も繰り返しお話ししてきたアドヒアランスの重要性はここに全てがあります。
どの薬も吸収されやすく、血中濃度が維持しやすいように作られ、服用の方法も考えられています。「空腹時」とか「食後」とか飲むタイミングに制限があるものは、胃酸などにより薬の吸収の程度が変わってしまうためです。「12時間おき」や「1日1回(24時間おき)」となっているものは、その時間が経つと、薬が体外に排泄されてしまって血中濃度が下がってしまうためです。リトナビルが他の薬とよく組み合わせて使われるのは、薬を分解する酵素の働きを抑え、長い時間血液中に薬が留まるようにするためです。
耐性ウィルスが一定以上増えてしまうと、その薬はもう効かなくなってしまいます。そうなると、薬を変更するしかウィルスを抑える手はありません。こうして薬をどんどんダメにしてしまえば、最後には飲む薬がなくなってしまうことは、すぐにわかりますよね。だから、薬を始めたら、徹底的に飲むことが本当に重要なのです。
次回は、耐性ウィルスができた時の具体的な対処法についてお話しします。それではまた来月。 |
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今月の薬情報
引退した昔の主役 その輝きが今甦る
HIVの治療は変化が早いので、少し前にメジャーだった薬があっという間に使われなくなったりします。インジナビルとネルフィナビルは初期のPIで、一時はインジナビルかネルフィナビルかと世界を二分していたものでした。どちらも副作用がきついのでなかなか飲み続けられず、新しい薬にスイッチしていく人が多くいました。今では初回治療にこの二つが選択されることはほとんどないでしょう。
しかし、時間がたたないとわからないことはあるものです。ネルフィナビルの洗礼を一旦クリアすれば、長期間安定して飲み続けられる人の率が高いことが最近わかってきました。ネルフィナビルは副作用の下痢がひどく、あまりのウンコの緩さに「おねしょ」じゃなくて「おね下痢グソ」したという体験談を聞いたことがあります。そんな情けない地獄をくぐり抜けられた人は、それ以外のさしたる副作用もなくウィルスをしっかり抑えられている人が多いそうです。
もう一方の主役、インジナビルも副作用はムチャクチャです。水を飲んでジャンジャン流さないとすぐに腎臓結石になるなんて、ひどくない? それでも飲んできちんと効いていた人は、新しい薬に変えても薬が効きやすいことが傾向としてあるようです。せっかく我慢したんだから少しくらいはいいことがないとね。 |
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| ※掲載されている情報は発売当時のものですのでご了承下さい。 |
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