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| 「HIV」なんて人ごとさっ! さすがに今どき、そんな風に考える人も少なくなっているとは思うけど、「HIV」についてキチンと理解できているのかな? そして予防するためにどうすればいいのか、本当に分かってるのかな? このコーナーでは、「HIV」の実態を知り、予防していくための方法を考える。 |
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文・溝口哲也
1976年生、現在30才。
昔は性感染症の勉強会やレズビアン&ゲイ映画祭のスタッフでしたが、今ではただの社会人です。HIV関係ではもはやただの素人同然ですが、そのぶん初心に戻ってがんばりたいと思います。 |
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PART1:僕らのとなりの「HIV」
〜今さら聞けない素朴な疑問に答えます!〜
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第26回
今さらですが、日焼けの肌に精液浴びたら感染しますか? |
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イラスト/タカサキケイイチ
| Q:いつも楽しく勉強させていただいております。今年ももうすぐ夏が来るわけですが、僕は海が大好きで、毎年、海水浴にでかけます。しかし僕は肌が白いため日焼けすると真っ赤になってしまい、お風呂に入るのも大変な状態になります。そこで質問なのですが、日焼けも一応、火傷ですよね? お風呂に入れないくらい、肌が紫外線により火傷をおっている状態で身体に精液を浴びてしまったらHIVに感染してしまう可能性はあるのでしょうか? 宜しくお願い致します。(宮城/隈吉・27) |
えー、今回の質問は日焼けについて。北海道には梅雨がないので、隈吉さんの住む東北地方は、実質上、日本で一番夏が短い地域になるらしいですね。そんな東北の気候が、隈吉さんを日焼けに駆りたてちゃうんでしょうか。「お風呂に入るのも大変な状態」になるまで焼くなんて肌に悪いですよ! まじで。今はまだ20代だから平気かもしんないけど年を取ると後々こわいんだから、今年の日焼けはやりすぎないようにくれぐれも注意してくださいね。
さて、「日焼けした肌に精液を浴びてHIVに感染するのか」という質問。さすがにそんな理由でHIVに感染したという事例は聞いたことが無いので、日焼けで現実にHIVに感染しうるのかどうかはちょっとわかりませんでした。日焼けとHIV感染の相関関係については調べてみても結局わからずじまいだったので、今回は日焼けそのものについてちょっと調べてみましたよ。
まず、日焼けの元となる紫外線には、UVA、UVB、UVCの3種類があります。そのうち地表に届いて日焼けの原因となるのは、UVA、UVBの2つ。UVAが皮膚に達すると、メラニン色素が沈着していわゆる「日焼け」になりますが、UVBが皮膚に達すると、炎症、つまり痛みやヒリヒリ感を起こしてしまいます。隈吉さんが日焼けでお風呂に入れないくらいヒリヒリしてしまうのもこのUVBによる炎症のせいで、これが過ぎると皮膚に水ぶくれができてしまうこともあるようです。
隈吉さんの書いている通り、日焼けもいちおう火傷の一種。毎日すこしづつ焼いてほんのり小麦色な焼け具合であれば精液がかかっても心配ありませんが、ヒリヒリ痛かったり水ぶくれができちゃうくらいの日焼けだと、肌はあきらかに傷ついています。その場合は傷からHIVが体に入る可能性は否定できませんから、HIV感染のリスクもいくらかあるかと思いますね。
とまあ今回、いちおう日焼けのHIV感染リスクについて回答してみたのですが、つうか、そもそもそんなひどい状態だったら、無理してセックスなんかしないでおとなしく家で寝てましょうよ(笑)。いくら夏が短いとはいえ、ヒリヒリするまで日焼けすることも、しかもその状態でセックスして体にブッカケられることも予測(期待?)して質問してくるとは、隈吉さんのエロさと夏への期待を垣間見た気がしました。
27歳っつったら、性欲は若い時のままだけど、次第に猪突猛進さが無くなってエロのスキルがメキメキ上達するころ(溝口はそうでした。え、聞いてない?)。隈吉さんの今年の夏がエロくて素敵なものになりますように祈ってます。がんばってね。
※余談ですが、炎症を起こすUVBを防げば完璧な日焼けが出来るかというと、どうもそうでもないみたい。UVAは炎症こそ起こしませんが、真皮の深部まで到達して長期的にはシワやたるみの原因になるそうですし、また、UVBとともに将来の皮膚がんのリスクを増大させるとも言われています。なんにせよ、日焼けはやりすぎずにほどほどが一番ってことですね。 |
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Part2:ポジティブなPositive Lifeのために
〜感染している人にとって必要な情報をコンパクトにまとめて〜 |
第11回
耐性ウィルスとは? その2 |
こんにちは。先月は耐性ウィルスがどのようにして発生するか、についてお話ししました。今月はその続きで、その詳細と対処法を取り上げます。
■標的の酵素が変化する
さて、耐性ウィルスとは、具体的にどこがどう変化して、それがどのような影響を与えているのでしょうか。基本に戻って説明しますね。
HIVはリンパ球に入り込み、中で増殖し、そしてその細胞を破って外に出て行きます。その過程ではさまざまな酵素=タンパク質が作用していて、どれか一つが欠けていても、HIVは増殖できません。逆転写酵素阻害剤は、その名の通り逆転写酵素というタンパク質を、プロテアーゼ阻害剤はプロテアーゼというタンパク質を、それぞれブロックします。
タンパク質は、ビーズのネックレスのように20種類あるアミノ酸が数珠つなぎに繋がってできていて、並んでいる順番はタンパク質によって決まっています。アミノ酸の種類を変えてしまうと、タンパク質の働きは変化します。耐性ウィルスは酵素のなかのある部分のアミノ酸を置き換えて、本来の機能は損なわずに、薬の作用だけを受けないようにタンパク質を作り替え、生き延びようとするウィルスなのです。
■薬と耐性の関係―交叉耐性
では、具体的に、酵素のどこが変化するのでしょうか? それは薬によって違います。例えば、3TCに耐性を持つウィルスは逆転写酵素の184番目のアミノ酸が、NNRTI(非核酸系逆転写酵素阻害剤)は103番目のアミノ酸が変化することが多いです。3TCは1ヶ所変異するだけで効かなくなってしまいますが、AZTは数カ所の変異が重複しないと薬に対する抵抗力は見られないなど、変異の場所だけでなく数も薬によって違います。
ここで「じゃあ、3TCが効かなくなったら184番が変異していても効く薬を使えばいいじゃないか」と思う人もいますよね。実際その通りです。しかし、ここで問題なのは、違う薬でも変異する場所が同じものがあるのです。これを交叉耐性[こうさたいせい]と呼びます。交差点みたいに、変異の場所が共通なんですね。FTCは3TCと同じく、184番が変異すると効かなくなるので、FTCと3TCは交叉耐性を持ちます。言い換えると、3TCが効かなくなったら、薬が一つダメになったのではなく、FTCもダメになったので、2つつぶれたことになるのです。NNRTIは3種類ありますが交叉耐性を持ち、どれも103番が変異すると効かなくなるので、3つのうち1つをダメにすると3つ全部ダメになってしまいます。
ということは、前ページに薬がいろいろと並べられていますが、実は、交叉耐性を考えると、薬の種類はググッと減ってしまうのです。交叉耐性を持っている違う薬が出ているのは、メーカーが違ったり、飲みやすさや副作用が違うためです。
■多剤耐性を避けるために
耐性が確認されたとき、変異の場所が違う薬に変更することになります。すぐに新しい薬に変更する場合もあれば、CD4やウィルス量の数値が良好で、薬を止めて様子を見る場合ももあるかもしれません。耐性が出た薬はすぐにやめることが多いですが、新しい薬での再開のタイミングはケースバイケースでしょう。
なによりも大切なのは、きちんと服薬し、耐性がでないようにすることです。「耐性が出たから他の薬に変えればいいや」と、新しい薬に変えても、いい加減に飲んでいればまた同じことです。これを繰り返すと、複数の薬が効かない、多剤耐性のウィルスが発生してしまいます。こうなると治療は非常に難しくなります。アドヒアランスが重要なのは、まず第一にこの点にあるのです。 |
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今月の薬情報
HIVウィルスを完全に殺せる!? 新しい遺伝子治療誕生か
5月15日、タカラバイオ株式会社はHIVに感染したリンパ球を選択的に破壊し、HIVウィルスを死滅させることができるモデルを、8月に行われる日本遺伝子治療学会で発表することを発表しました(まどろっこしい)。
このモデルは、ものすごーく単純化して言えば、人間のリンパ球に特殊な遺伝子を組み込んで、HIVに感染したらHIVが増殖できないようにして、なおかつそのリンパ球も細胞死するようにするんだそうです。今までの薬は「増殖を防ぐ」ことはできたけど、「HIVに感染しているリンパ球=ウィルスの巣」には効果がないため、HIVを完全に殺すことができなかったわけですな。抗生物質みたいにウィルスを直接ぶっ殺すわけでもないしね。
ここだけ聞くと「すげーこれでHIVが治るー」と思いそうですが、勝負はここからですよ。正直、私は新薬の発表にはもう無関心というか、どんなにすげー薬でも、製品になって発売されなかったら意味ないんですよ。このモデルだって、まず遺伝子組み込みをどうやって行うのか決めて、効果や毒性を確認して、それでやっと私たちが飲める「薬」や「治療法」になるわけで、それまでの道のりは険しいでしょう。これを読んで「HIVは治る!」と早合点するのだけはお願いだからやめてね。 |
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| ※掲載されている情報は発売当時のものですのでご了承下さい。 |
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