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「HIV」なんて人ごとさっ! さすがに今どき、そんな風に考える人も少なくなっているとは思うけど、「HIV」についてキチンと理解できているのかな? そして予防するためにどうすればいいのか、本当に分かってるのかな? このコーナーでは、「HIV」の実態を知り、予防していくための方法を考える。
文・溝口哲也
1976年生、現在30才。
昔は性感染症の勉強会やレズビアン&ゲイ映画祭のスタッフでしたが、今ではただの社会人です。HIV関係ではもはやただの素人同然ですが、そのぶん初心に戻ってがんばりたいと思います。

PART1:僕らのとなりの「HIV」
〜今さら聞けない素朴な疑問に答えます!〜

第29回
今さらですが、不安を軽減する、相談窓口ってあるのですか?

イラスト/タカサキケイイチ

Q:こんにちわ。僕は以前風俗の体験に一日だけいきました。理由はお金がどうしてもほしかったから…。でも僕はその前の前の日に親しらずの歯を抜いていて大きな傷口があったのです(;_;) 少し出血もあったと思います。僕はその日に二人の人を接客したのです…。なのでHIVになる率が高いと思われて凄く不安で眠れない日が続いています。検査を受けたいのですが三ヶ月待つ間がとても辛いです。そしてもう二度とこんなバカなことはしてたまるもんかと強く実感しました。だけど今ものすごく不安です。(みさき・フリーター/21)

 みさき君は21歳にして風俗体験ありですか。風俗一日体験なんて自分はナニワ金融道とかの漫画でしか知りませんが、漫画で読む一日体験といえば、店長? みたいな偉そうなオッサンがまだおぼこい娘をエロエロに教育する場面なんかが特にお気に入りで、想像するだけで不覚にも勃起してしまい…(以下略)。いかんいかん、せっかく真面目なメールをもらったのについ妄想の世界に突入してしまいました。ごめんなさい。

 で、今回のメールですけども、内容を読む限り、みさき君はHIV予防については十分知ってるみたいですね。確かに親知らずを抜いた後のような、口内に傷がある状態でセックスをすると、傷口からHIVが入ってしまうことがあります。それにHIV検査も、感染リスクがあるような行為をして三ヶ月待ってから検査をしないと、正しい結果はわかりません。
 みさき君は基本的な知識は十分持ってるけど、とても不安。僕もその気持ちは痛いほどわかるなあ。僕もまだ10代の美少年だったころ(ちなみに今は美青年です)、HIVの知識はあったのにふらふらっと生でやってしまったことがありました。そんな時ってHIVの知識があってもブッチャケ大した役には立たないし、検査も三ヶ月は待たないといけないし、ほんと、モンモンとしちゃうんよねえ。

 わかっちゃいるけど、どうにもならない。それってしんどい恋愛となんとなく似てて、どうやっても治るもんじゃないんです。むしろそんな時は、自分の気持ちをだれかにたくさん聞いてもらえば、不安もいくらかは軽減されるんじゃないかと思います。そこでおすすめなのが、たくさん話ができる電話相談。ジーメンの文通欄にある「HOTLINE」というコーナーでは、いろいろなHIV相談の連絡先が載ってますよ。

 それぞれ電話相談の受付時間は異なりますが、話を聞いてくれるのはきちんと専門的な知識を持った人ばかり。それに、相談員はみんな基本的に同じゲイの人たちばかりなんで、自分の今の気持ちを正直に話すことができるはずです。もしかしたら新しい知識だって得られるかもしれないし、不安でどうにもならないような時は、こういった電話相談に連絡してみることを僕は強くおすすめします。不安をゼロにすることはできなくても、その不安は人に話すだけでかなり楽になると思いますよ。

 今のみさき君は、とても苦しい気持ちを抱えていますよね。でも苦しみが強ければ強いほど、次からは絶対セイファーセックスをしようと思えるし、HIV予防をする気持ちにもきっとつながるはず。今は嫌かもしれないけど、どうしても不安で苦しいときは電話相談に電話をかけてもらって、みさき君には、今のそのモンモンとしたつらい気持ちをずっと大事に忘れないでいて欲しいと思います。
HIV・医療に関する電話相談一覧
団体名 曜日 受付時間 電話番号
エイズ・サポート千葉 第2・第4月曜日 14:00-17:00 043-224-346
ぷれいす東京 毎週土曜日 19:00-21:00 03-5386-1575
LAPエイズ電話相談 毎週土曜日 16:00-19:00 03-5685-9644
AGPからだの相談 第1・第3水曜日 21:00-23:00 03-3319-3203
アカーSTD情報ライン 毎週月・金曜日 12:00-14:00
20:00-24:00
0120-783-083
HIVと人権・情報センター(東京) 第2・第4日曜日 19:00-21:00 03-5259-0750
HIVと人権・情報センター(大阪) 第1・第3土曜日 18:00-21:00 06-6882-0313

Part2:ポジティブなPositive Lifeのために
〜感染している人にとって必要な情報をコンパクトにまとめて〜
第14回
使用禁止の薬
 こんにちは。HAARTの組み合わせについては以前お話ししましたが、今月はHIV以外の病気の薬と、HIVの薬の組み合わせについて、お話ししましょう。

■薬の相互作用は要注意
 HIVの薬に限らず、大方の飲み薬は胃や小腸で吸収された後、肝臓で分解され、尿や便を通じて体外に排出されます。その時の吸収の度合いや、肝臓にある酵素の分解スピードなどにより薬物の血中濃度が計算され、それによってどれくらいの量を何時間おきに飲んだらいいかが決まります。
 HIVの治療では、薬物の血中濃度の維持が非常に重要なのは以前お話ししたとおりです。しかし、別の薬と一緒に飲むと、肝臓での分解スピードが変わってしまう場合があります。2つの薬物が1つの酵素を奪い合ってしまうためです。そのため、意図していた血中濃度より低かったり、逆に高くなってしまうことがあります。薬は量が少なければ効きませんし、量が多かったら毒です。ちょうどいい濃度になるように設計されているので、これが変わってしまうのは一大事です。
 肝臓での奪い合い以外にも、時期をずらして飲めば問題ない組み合わせでも、併用すれば互いに効果を打ち消しあったり、逆にアレルギーやショック症状などの予測しがたい重大な副作用を引き起こすこともあります。
 ですから、HAARTをしている間はもちろん、HARRTを始めるときも、他に飲んでいる薬について、医師に確認することは非常に大切なことです。病気を治すために薬を飲むのに、実は効いていなかったり副作用が出たり、はたまたショック症状を起こしてしまったら、何にもなりませんからね。

■NGな組み合わせ―抗HIV薬編
 抗HIV薬同士で組み合わせてはいけないもの=併用禁忌は2種類あります。一つは、効き目が同じなので併用しても意味がないもの。AZT+d4T、3TC+FTC、ddI+d4Tは作用機序が似ているため、一緒に飲んでも意味がありません。3剤併用なのに2剤併用と同じことになってしまいます。
 次は、効果が不十分なもの。ABC+TDF+3TC、TDF+ddI+3TCは3剤併用でも十分な効き目がありません。上に述べた意味とはちょっと違いますが、念のために書いておきますね。ドクターがこの組み合わせを提案してくることはまずありませんが、ちょこっとだけ注意しておきましょう。

■NGな組み合わせ―他の薬編
 抗HIV薬と他の病気の薬の組み合わせでは、併用禁忌もしくは一緒に飲むときは要注意の併用注意は、それはもうたくさんあります。身近な例をいくつか挙げましょう。

胃薬
 胸焼けの時に飲む制酸剤は、アンプレナビルやレイアタッツと併用するときは、抗HIV薬服用の2時間以上前または1時間以上後に飲まないと血中濃度が下がる可能性があります。気軽に飲んでしまう薬だけに要注意です。
サプリメント類
 薬局でよく売られているセントジョーンズワート(西洋オトギリソウ)は、多くのPI(プロテアーゼ阻害剤)の血中濃度を下げるとして併用注意です。同様にニンニクカプセル(ニンニク濃縮エキス)もサキナビルなどで併用注意です。
コレステロール降下剤
 リポバスなどのスタチン系薬剤と呼ばれる一群の薬物は、それらの血中濃度をあげて副作用が出やすくなるとして多くのPIで併用注意になっています。
ED治療薬
 レビトラは重度の低血圧等を引き起こす可能性ありとして、カレトラやレイアタッツ、アンプレナビル等多くのPIで併用禁忌です。バイアグラも多くのPIでバイアグラの副作用を増強させるとして併用注意です。
抗精神薬
 睡眠薬のハルシオンも多くのPIやストックリンと併用すると、ハルシオンの副作用である呼吸抑制などが増強するとして併用禁忌です。抗不安剤のソラナックスは同様の理由でリトナビルやネルフィナビルと併用禁忌になっています。
 これ以上の詳細はそれぞれの薬の添付文書を読んで頂くしかありませんが思い当たる節があったら医師にすぐ相談してくださいね。それではまた来月。

今月の薬情報
新薬登場! ダルナビル
 いきなり出ました! 新しいPIのダルナビルがアメリカで承認されました。名前はだるそうですが効き目はシャープ。PIとしての作用機序は今までのものと同じですが、作用する部位が遺伝子の変異を受けてもあまり影響のないところ、要するに耐性ができにくいPIだそう。耐性のある患者に投与したところ約70%に治療効果があり、他の薬より3倍以上の効き目を示した、とのことです。多剤耐性に苦しんでいた人には朗報ですね。アメリカではそういう人が多いために、申請から承認まで半年と異例のスピードだったそうです。日本でも早く承認してして欲しいものですね。

 ただ、これも所詮PI、HIVを根治する薬ではありません。選択肢が一つ増えた、というところですね。また、この薬に関わった熊本大の満屋教授はなんとAZTの開発者でもあります。いままで教授が世に送り出してきた抗HIV薬はこれで4つ目。もう熊本に足を向けて寝られません。
※掲載されている情報は発売当時のものですのでご了承下さい。
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