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| 「HIV」なんて人ごとさっ! さすがに今どき、そんな風に考える人も少なくなっているとは思うけど、「HIV」についてキチンと理解できているのかな? そして予防するためにどうすればいいのか、本当に分かってるのかな? このコーナーでは、「HIV」の実態を知り、予防していくための方法を考える。 |
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文・溝口哲也
1976年生、現在30才。
昔は性感染症の勉強会やレズビアン&ゲイ映画祭のスタッフでしたが、今ではただの社会人です。HIV関係ではもはやただの素人同然ですが、そのぶん初心に戻ってがんばりたいと思います。 |
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PART1:僕らのとなりの「HIV」
〜今さら聞けない素朴な疑問に答えます!〜
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第33回
いまさらですが、この症状って、検査受けるべきですか? |
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イラスト/タカサキケイイチ
| Q:「下痢、吐き気、寝汗などの経験はないですけど3年位前から両腕にハンテンのようなモノが出てきました…もともと胃下垂で太らない体質ですが最近かなり痩せてきました…コレって危ないですか? 検査を受けるかどうかを3年間悩み続けてます…。教えて下さい」(神奈川/匿名・26歳) |
3年間も検査を受けるかどうか悩むって、めちゃめちゃ長いですねー。びびる。自分は会社を辞めるときでも3日くらいしか悩まなかったなー。ダメ人間ですみません。
さて今回のご相談、結論から言いますとHIVに感染してるかどうかは検査しないと絶対にわかりませんので、もしなにか不安があったらぜひ検査を受けることをおすすめします。検査を悩んでる人に対して「悩まず検査行って」って回答もどうかと思うんですが、こればっかりは検査しない限り本当にわからないことなんで、どうかごかんべんを。
でも確かに、実際のところ検査を迷ってしまう気持ちは自分も痛いほどわかります。自分も大学生のころにHIVの感染不安を感じて毎日悩んでいたことがあったんですが、当時を思い返すと、大した知識もないくせに「もしも感染してたら人生終わりだ〜」みたいに、HIV感染に対して間違った、かなり悪いイメージを持ってました。そんなイメージを持っていると、HIVの検査を受けるなんて、自分からわざわざ知りたくもない人生に飛び込んでいくようなものに思えちゃうんですよね。だからなかなか検査が受けられない。
質問者さんも相当長い間悩まれていますが、本当の問題は自分自身の体調の変化とかじゃなくて、もしかしたら感染後の生活への不安が強すぎてなかなか検査に踏み込めない、なんてことはないでしょうか?
何も知らなければ恐ろしく感じてしまう(かもしれない)HIV感染後の生活も、実際には、いくつかの制限はあるものの日常生活を送ることは十分可能です。感染初期であれば薬を飲む必要もなく定期的な通院だけですむ場合が多いと思いますし、HIVに感染しても学校や仕事はそのまま続けることができます。もし身体に関する相談があれば、かかりつけの医療機関で相談にのってもらえますし、お金や保険といった社会的な相談は、役所や福祉事務所で受け付けてくれるはずです。また、もしなにか悩みがあっても自分ひとりで抱えることはありません。インターネット等で探せばHIVの相談窓口は日本全国にありますし(今号のメイルスクランブルHOT LINEP345にも載っています)、ボランティア団体などを通じて感染者同士で悩みを共有することもできます。もちろんHIV感染後の生活がそれ以前の生活と100%同じとは言いませんが、HIVに感染したって普通の生活を送ることは十分可能です。ちなみにこの連載の3P後ろには毎月、感染者の方の手記が載っていますので、ぜひそちらも参照してみてくださいね。
きちんとした知識を持てば、HIV感染後の生活も感染前とはそれほど変わらないことがわかります。質問者さんも、HIV感染後の生活についてよりくわしく知ってもらえれば、必要以上にHIV感染を怖がることもなく、徐々に検査をうける気になれるかもしれませんね。近い将来、質問者さんの3年越しの悩みが解決されることを祈ってます。
ではまた来月〜。 |
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Part2:ポジティブなPositive Lifeのために
〜感染している人にとって必要な情報をコンパクトにまとめて〜 |
第18回
AIDSが発症してしまったら |
こんにちは。今回は、HIV検査ではなくAIDS発症で感染がわかった場合を取り上げます。治療がうまくいかず発症してしまう例については来月お話しします。
■「AIDSの発症」ってそもそも何?
もう繰り返すまでもないと思いますが、「HIVに感染する=AIDS発症」ではありません。HIVに感染して免疫力が低下し、健康な人では感染していても抑え込めるような様々な病原体が病気をひきおこす、すなわち日和見感染症を発症した状態が「AIDS」と定義されています。HIVに感染していても、日和見感染症が出てくるほど免疫機能がまだ破壊されていなかったり、治療でHIVの増殖を抑えられている段階ではAIDSとは診断されません。
発症がきっかけで感染が判明する場合によくかかる日和見感染症はニューモシスチス肺炎(カリニ肺炎と言われていた)でしょう。なんだか具合が悪いと思ったら熱がどんどん上がって肺炎のような症状を起こし、検査してみたら普通の成人がかからないような変わった肺炎で「これはもしかして」と検査してみたらHIVポジティブだった、というパターンです。この肺炎を引き起こす真菌(カビのようなもの)は誰でも肺の中に持っていますが、免疫機能が下がってくると増殖して肺の機能を著しく低下させます。
■まずは日和見感染症の治療
ニューモシスチス肺炎に限らず、日和見感染症でHIVの感染がわかった場合、HIVの治療よりも日和見感染症の治療を先に行います。日和見感染症の治療にはHIVのとは違う薬剤を使います。
日和見感染症にもいろいろあり、その治療はそれぞれ違いますし、治療の難しさも一概には言えないので、ここで一つ一つ紹介することはしません。
■この後が危ない!
一旦、日和見感染症が落ち着き、HIV治療を始めようとするときが、実は非常に重要なポイントです。免疫が下がって身体に闘う力がないときは病原体はやりたい放題、様々な疾患を引き起こします。これを「免疫応答が起きない状態」と言います。免疫が落ちきってしまっているときは、実は体は炎症を起こしません。炎症とは、免疫を担う白血球が病原体と闘う時におきる発熱や発疹等の副産物のことです。
免疫力がゼロに近い状態でHAARTを開始すると、免疫機能が急激に回復します。そのとき、免疫応答が復活し、やりたい放題だった病原体に対する攻撃が一気に始まります。ここだけ読むと良いことのように見えますが、実は猛烈な炎症も同時に起きてしまい、一旦は治まったはずの日和見感染症が再燃することがあるのです。これを日和見感染症の種類にかかわらず一括して免疫再構築症候群といいます。免疫再構築症候群として現れる頻度の高いものは、MAC(非定型抗酸菌)感染症、結核、サイトメガロウィルス網膜炎等が知られています。
■治療はケースバイケース
日和見感染症が治まっても免疫再構築症候群の危険があるため、日和見感染症の治療は入院が必要になることが多いでしょう。免疫再構築症候群としてMAC感染症や結核が再燃するのは、HAART開始から2週間後のケースが多いため、その間は慎重に経過を観察することになります。HAARTを開始する前に、まずは日和見感染症を治療するからです。サイトメガロウィルス網膜炎は発生期間が2-80週後と幅があるため、定期的な通院が必要になります。
免疫再構築症候群の治療は、日和見感染症同様ケースバイケースです。多くの場合再燃した日和見感染症への治療が必要ですが、HAARTを継続するかしないか、抗炎症剤の副腎皮質ホルモンを投与するかしないか、統一した見解はありません。症状や患者の個人差等の様々な要因を鑑みて、治療がその都度検討されることになります。
また、免疫機能が低いと、日和見感染症が出ていない状態でもHAARTを開始することによって、それまで症状のなかったものがいきなり出てくることもあります。CD4が2桁以下の状態からHAARTを開始する場合は、予防薬を開始してからHAARTを始め、免疫再構築症候群に注意する必要があります。HAART開始のラインをCD4=200に置いてあるのもこれが理由の一つでもあります。
今月は難しい話が多くなってしまいました。来月はもっとわかりやすくするようにしますので、次回もどうぞよろしく。 |
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今月の薬情報
ウィルスよりも人間の細胞に着目
06年11月〜12月にかけて、第20回日本エイズ学会が行われました。細かいトピックはたくさんあるけど、今回の学会の焦点の一つは「人間側」。
今まで何度も書いてきましたが、HIV治療の一番の難しさは、HIVがどんどん変異してしまって薬が効かなくなってしまうこと。でも、ウィルスは独立しては生きられず、必ず何かに寄生しないとムリ。だったら宿主である人間のリンパ球に注目したらよりよい薬が開発できるのではないか、というのが主旨ですね。人間のリンパ球はそんなにコロコロ変異しないので、ここをビシッと押さえればもっと効果的な薬剤の開発に繋がるのでは、ということです。特に耐性ウィルスの出てしまった人には待ち望まれている薬です。他にも書きたいことは山のようにあるが詳細は次号を待て! |
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| ※掲載されている情報は発売当時のものですのでご了承下さい。 |
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